2012年12月20日木曜日

ブログ名変更しました

「北海道の脱原発のために地方行政を考える市民の会」から
「北海道の脱原発のために地方自治を考える市民の会」に、
ブログ名を変更いたしました。

「地方行政」はその土地の人々の信託によって成されるものであり、即ちあくまで主は住人であり、行政府はその土地の住人から条件付で委託されているに過ぎません。
しばしば忘れがちなその当たり前のことを改めて表明し、絶えず認識しなおすために、「自治」という言葉を会の名としてここに掲げたいと思います。

「北海道の脱原発のために地方自治を考える市民の会」を、改めてよろしくお願いいたします。

2012年12月14日金曜日

2012年11月24日地方自治学習会レポート 高橋知事と道政について討論(ゲスト森啓さん)

2012年11月24日地方自治学習会レポート
高橋知事と道政について討論(ゲスト森啓さん)

森さんと各参加者の方々から、各自がこれまで調べたこと・体験したことに関する、具体的で興味深いお話が聞かれました。また、森さんには、高橋知事が知事になった最初の経緯、日本でどのように原発が推し進められて来たかについて、詳しくお話しいただきました。
以下、当日の討論に現れた話題のうち、

1、政治及び政治家を考える際に、どのような視点が必要か、

2、原発と政治の問題をどのようにとらえるか、

3、参考になる個別的な話題、

に分けて、主催者Fが理解し、書きとめることができた部分を箇条書きにしていきます。

1、政治及び政治家を考える際に、どのような視点が必要か 2012年11月24日地方自治学習会レポート

2012年11月24日地方自治学習会レポート
1、政治及び政治家を考える際に、どのような視点が必要か

☆「作為責任と不作為責任」
責任には、「何かをする(した)という責任(法律用語で『作為責任』)」と「するべき何かをしない(しなかった)という責任(法律用語で『不作為責任』)」とがある。
例えば自治体の首長ならば、その自治体の住民の安全を守り、生活の場を半永久的に捨てなければならないような事態を招かないよう対策をとることが第一。
道知事であれば、泊原発を万が一にも事故に至らせないようにし、発送電の分離、各地域に合った発電方法の促進など、具体的な策を進めて行くことが未来の世代への責任である。
それをしないのは、政治家としては、何か目に見えた失政を推し進めるのと同様に悪行を行っていることになる。(全ての悪行を「刑法」「民法」の範囲では処理できず。)
*参考・加藤周一による「知識人の責任」という言葉

☆長い将来にわたり影響を及ぼすような決定を勝手に行わせてはならない。
原子力災害は他の災害とは全く質が異なり、絶対的に防がなければならない事が、福島第一の事故で既に明らかになった。事故がもし起これば、影響は子々孫々に及ぶ。選挙による首長の指名は、有権者による白紙委任ではなく、4年という任期の範囲に限った「信任委託契約」と解釈できる。当然、首長が目に余る勝手を行う場合には「信託契約解除権」が発生する(必要なら解職すべき)。批判的精神を持って政治を見続けることが必要。

☆直接民主制に対し間接民主制が優先するという論法はトリック
本来直接民主制と間接民主制は対立するものではなく、共に民主主義の方式。
中曽根元首相らの、「日本の法律で採用されている間接民主制を揺るがすので直接請求を認めるべきではない」という論法に騙されてはいけない。
(参加者Oさんにより、「民主主義は本来直接民主制を取っており、ただ、それでは集団が大きくなると難しいので代表を選び、間接民主制に移行する。間接民主制を直接民主制より優位に置くのは本末転倒」との分かりやすい説明もありました。)

☆本来の民主主義は知らせるべき情報を広く市民に知らしめることにより築かれる。
◇愛別町における大掲示板の事例(競艇賭博の舟券売り場設置の問題で)。
「小メディアが真の民主主義を作る」
◇「民衆法廷」の意義(下記【*1】を参照)
◇解職請求など、民主主義実践のため知っておくべき手続きを学ぶために、当座従うべき現行の制度として地方自治法について調べるのは良いが、現在の地方自治法は「国家による国民統治」を前提とした明治憲法の枠組みを用いて作られていることを忘れてはならない。その発想の枠内に捕らわれぬよう注意する事。
必要に応じた言葉の読み替えなども必要。(下記【*2】参照)

【*1】
「本来法廷は、責任ある人を弾劾(罪を公にすること)し、断罪(然るべき責任を負わせること)すべき。しかし、実際の法廷がそれらの人々からの独立性を保持していないために公にすべきことを公にせず、メディアもそれに倣っている場合、民衆が代わって真実を明らかにしなければならない。その役割を担うひとつが
民衆法廷である。」とのお話をいただきました。単なる模擬裁判ではなく、規制の法律の枠組みに捕らわれず、市民の自然な感覚を大切にして、何が正義かを確認し合う場だとのこと。(Fの理解として、討論の過程と判決を市民が見聞きし、以後の行動に生かすことが大切ということかと受け止めました。)
【*2】
☆地方公共団体は「地方自治体」、住民投票は「全有権者投票」というべき、と森さんよりお話がありました。 
☆政治家も公務員も本来国民に雇われているはずなのに、「請願」「陳情」などの
言葉もおかしいと、参加者Oさんからもご指摘がありました。

2、原発と政治の問題をどのようにとらえるか 2012年11月24日地方自治学習会レポート

2012年11月24日地方自治学習会レポート
2、原発と政治の問題をどのようにとらえるか

☆原発は
◇事故があれば現代の智慧では解決不能。
◇事故が起こらずとも、動かせば日々、何十万年にもわたり管理の必要な廃棄物を生み出す。
◇福島第一では今も放射能の放出が続き、崩れかけた使用済み燃料プールにもし何かあればもはや半永久的に収束不能今後日本は国際的な責任問題を負う事になる。
これらのことから、原発はエネルギー問題の解決如何にかかわらず二度と動かしてはいけない種類のものであることが既に明らかになった。(今も余震は続いている。)

☆道政と道知事は
◇(やらせ説明会に基づく)プルサーマル容認を行い、今も訂正していない。
◇3.11後には、本来するべきであった関係町村との協議の無いまま、
試験運転中だった泊原発3号機の営業運転への移行を決定した。
(新聞には「協議が行われた」と報道されたが、岩内町議のS氏による証言あり。「協議は行われず単に通知だけ」)
◇それ以後も原子力発電を行うことの是非について、道としての考察・意思表示なし。
(本来、法的に原発運転の可否について道には権限がなく、政府と電力会社に任されていることは事実だが、3.11以降、一応『地元の意見は聞くべき』ということになり、立地市町村と都道府県の首長には発言権が与えられている。)
◇(原発とは直接関係しないが)がれき受け入れの問題。
「全国的に、助け合いで、」という心情論をふり撒き、本来必要な危険性についての議論をせず。むしろ独自の慎重姿勢を取る市町村を牽制。
この他、除染、幌延問題についても、3.11以後、北海道としての明確な意思表示なし。

☆二度と原発事故を発生させないために、現在まで原発を推進してきた人々の責任を問わなければならないのに、誰も責任を問わず、問われず、問う力もない。
これを放っておかないためには、先の記事の「公の人に知らせるべきことを知らせる」ことが重要。

3、個別的な話題 2012年11月24日地方自治学習会レポート

2012年11月24日地方自治学習会レポート

3、個別的な話題

☆高橋知事に関して、乗り越えるべき問題に「高橋知事一人を断罪するのは良くない。」との意見も根強く聞かれる、ということがある。
「その前の堀・横路両知事はどうなのか」、「むしろ応援して、市民の方を向いてもらうのが良いのでは」ということ。
このことに関しては、これまでの高橋道政の道筋を明らかにしつつ、色々な方の意見を聞きたいと森さんよりお話あり。(相手の考えを無理に変えさせることはできない。それよりまず、自分がそれについてより明確に説明できるようになるため、事態についてしっかりと知る、ということかと。…F感想)

☆高橋知事は現時点では一応TPPには反対しており、農協の支持は失っていない。
ただし、原発問題について、これほど中央政府任せ・大企業任せの姿勢を取る知事がどれだけこの点に関して意志を貫いてくれるかには疑問の余地あり。

☆参加者Oさんより、遺伝子組み換え作物に関する条例制定市民運動の際、知事が障害になった旨、体験談あり。

☆民主党は労組系から指示を受け、その中で電力総連からの票と資金の提供比重は大きい。
(時には使用者側からも寄付もあるとのこと。)
原発問題が大きくなっている時、道内民主党有志議員の間でも原発について改めて議論しようという機運が高まった。その時、電力総連から文書で、その様なことをするならばもう援助しない旨申し入れがあり、民主党が「党としての総意でない」と陳謝する事態になった。(道新の記事になったとのこと。)

☆市民から道議会へ問題提起する方法には「請願」と「陳情」があるが、道の場合は陳情は全く会議にかけない。「請願」ならば、全議員に回覧し、関係委員会の協議にもかけるが紹介議員が必要。普天間の問題で市民が請願を出そうとしたとき、市民派を名乗っていたはずの何人かの道議が紹介議員になるのを断ったとのこと。その様な行為をする議員は、初めから保守派を名乗っている議員より罪が重い、と森さんよりご指摘あり

以上、ここに書きとめられなかった話題も沢山ありましたが、徐々にカバーして行こうと存じます。

最後に:
この日は森さんがいらして下さったこともあってか、出席率が過去最高で予想外の人数の方がいらしたため、いつも初回の方にお渡しする解職請求関係の資料と最新版模擬書類を含め、お配りする資料の準備が不十分だったことをお詫びします。ただ、ぶっつけ本番で、各自が調べたこと、経験したことなどを言い合えたのが、却って良かったのではないかと感じています。 (F記)