2014年10月26日日曜日

2014年9月11日 経産省主催公聴会 陳述

ここの所、ホームページ及びブログを更新できず申し訳ありません。
最近は、他団体と協力しつつ、主に原子力防災の観点から、脱原発活動に取り組んでいます。(近日中に、この1年余りの活動内容のご報告をアップします。)

また、脱原発をめざす北電株主の会の会員でもある代表・深町は、同会の株主提案プロジェクトチームのメンバーとして、他のメンバーの方々と共に原発問題の経済的側面について分析を行っています。

2014年9月11日には、経産省主催の「北海道電力株式会社による電気料金値上げ認可申請に係る公聴会」において、深町が陳述しました。その原稿を公開します。

北電値上げ申請に当たっての意見・疑問


私は今回の電気料金値上げに関する北海道電力の説明について、このままでは消費者を欺いており、承服しがたく思っております。また、値上げ申請そのものを撤回すべきと思っています。

役員報酬等に関する私の意見は、先に提出した極簡単な意見概要にあるものとは、その後の調査等によって変わっております。役員の数を減らすべきと、そこには書きましたが、責任を果たして戴くためには、数は減らさず、報酬を一般社員並みにすべきと考えています。また、本来なら過去30年の役員にも責任を問うべきと考えます。ですが、このことについては、時間の関係でこれ以上ここでは論じません。

それよりも、北電の経営を、このように差し迫った値上げ申請に追い込んでいるのは、火力発電の燃料費ではなく、原子力発電関連の固定的で巨額な支出であるということを、これから重点的に申し上げます。

電気料金決定の際、原価やレートベース算定に関わる原子力周りの支出には、巨額で不透明なものが沢山あります。中でもとりわけ、不透明なうえに、後々更に巨額になると懸念される、使用済燃料関連の費用について、まずお話させていただき、幾つかご質問したいと存じます。

はじめに使用済燃料の再処理に関して、全く実績が上がっていないにも関わらず、北電は毎年巨額のお金を、既に六ヶ所村の日本原燃に「再処理料金」として支払っています。

先日広報の方に、再処理に関する日本原燃との契約について問い合わせた所、「再処理工場竣工後約40年間で、北電分約1000tUの使用済燃料を再処理する計画であり、かかる費用は3500億円程度」とのことでした。
この額には、株主として私たちが調べてきた、再処理前払金および再処理等積立金の累計総額の合計、約1700億円では、全く足りません。
つまり、計画通りに再処理事業が進んだとしても、更に1800億円以上を日本原燃に支払うことが、現時点で確定しているということではないでしょうか?

一方で、「北電依頼分の使用済燃料の再処理実績は現時点では無い」ということを、広報部の方も認めています。それでも、料金は「契約に基づいて」支払っているというのです。

それで、「再処理が実際には行われていない現在の状況では、今後累計の料金が当初契約の3500億円を超えることが心配される。そのような場合にはどうなるのか?」と質問したところ、「仮定の質問には回答できない。」というお答でした。

そこで北海道電力にこの場で伺いたいのですが、実績のない事業に料金を支払い続けるのは、明らかに経営に不都合です。再処理契約を北電側から破棄できないのでしょうか?また、2年続きの値上げで不利益を与える我々消費者にも、契約内容の開示を行なうべきではないでしょうか?

以前同じことを伺った際には「民民契約であるので、できない」とのことでしたが、仕事もしないのに料金だけは巨額に請求される、というのは、我々からすると明らかに民民契約の常識を超えています。その結果、電気料金値上がりという不利益を被る消費者としても、到底納得できません。

経産省には、北電と日本原燃との間の契約は、法的に言って、北電側から解除はできるのか、また、できないとすればそれは何故かをお答えいただきたいと思います。

もう1つ、使用済核燃料関連の費用に、特定放射性廃棄物の最終処分費があります。
この処分費として、北電から原子力発電環境整備機構(NUMO)に毎年拠出している最終処分積立金の累計額はH25年度末で250億円と伺いました。

ところが、先日参加したNUMOのシンポジウムでは、4万体程度のガラス固化体を処分する地層処分施設を一つ作るのに、諸経費込みで3兆8千億円かかるとの事でした。これを単純に9電力会社で割ると、4000億円以上の負担が見込まれ、現時点で積み立てている額だけでは圧倒的に足りません。
最終処分に関しては、安全についての議論も、技術的な研究も完了しておらず、「既発電費」としての費用負担は、更に際限なく膨らむことも予想されます。

実際、H25年度は、泊発電所から新たな使用済燃料は発生していないにもかかわらず、北電は最終処分積立金を7億円、先にお話した再処理等積立金を28億円、新たに積み立てています。これは、当初の見込みと、使用済燃料1トン当たりの、最終処分・再処理にかかる費用が変わったことによる差額ではないのでしょうか?

そうした事を考えると、原発を稼働したとしても、いえ、稼働すればますます、今後電気料金は上がっていくということではないでしょうか?

実際、今年の株主総会では、泊発電所を今年9月に再稼働できたとしても、電気料金は値上げせざるを得ない、と伺いました。あたかも泊さえ稼働できれば電気料金は値上げせずに済むのだ、とするのはごまかしであり、北電は料金値上げの真の事情に関する説明責任を果たしていないと考えます。

私は道民としても、株主としても、さらに、地方でお暮しの方達の生活インフラ維持の問題を心配する一市民としても、北電が経営破綻することを望んでいません。正当な理由があれば、適切な値上げには応じる所存です。けれど、現在の状況では、消費者の理解を得ることは到底出来ないと指摘致します。

最後にいくつか、電気料金及び原子力関連支出に関連した関連した雑多な事をお伺いします。
まず北海道電力に…

レートベースは、今回の料金算定にかかる補正の対象外と、広報担当者から伺いましたが、報酬率は下げたのでしょうか?(それにしても、レートベースに計上されている高額の資産の内、原子力関連の施設、出資の占める割合が大きい。日本原燃への出資220億円など、資産というより不良債権ではないのか?

飽くまで泊発電所停止により燃料費が嵩んでいると仰るのならば、それをわれわれ消費者が客観的に検討できる様、過去30年間の販売電力量、火力発電電力量、火力燃料費の年間総額とその内訳(石油、海外炭、国内炭、その他)、及び為替レートの推移、それに過去30年分の決算書を示して戴けないでしょうか。先日、御社の値上げ説明会でもお願いしたのですが、決算書については、昨日、法的に義務のある5年分の開示は行っており、既にH12年度以降のものはWEBサイトに上がっているので、それ以前のものは開示するつもりはない旨の回答を戴きました。

ですが、総括原価方式で手厚く守られてきたにもかかわらず、赤字経営で2年続きの値上げを申請して、消費者に不利益を負わせ、それについて理解を求めるのですから、過去30年分の決算書は是非開示すべきではないでしょうか。もししないとすれば、それは何故でしょうか?

 安全対策費について、
泊原発の3.11以降の追加安全対策費は、株主総会での申告金額が年々膨らんでいる。H24年の総会では総額300億円台だろうと言われていたものが、昨年は900億円台、今年の総会では1600億円と言われた。そのうち既に支払ってしまっている額は、H23年度分が17億円、H24年度分が69億円、H25年度分が432億円と伺っている。

これまでの原子力関連施設にかかる費用の傾向を見ていると、この総額1600億円という数字は、この先の事情でまたさらに膨らむ可能性が高いのではないでしょうか?これ以上の金額に膨らまないと保証できますか?
また、そのようにして安全対策を施せば、泊原子力発電所は完全に安全になるのでしょうか?絶対に事故を起こさないと、本日ご出席の役員の皆さまの責任で断言できますでしょうか?

<ここまでで時間切れ、以下は予備メモ>


再処理料金についての北電の説明について

先日、各年度の「再処理料金」の支払いと、再処理等積立金の取戻し額との間の関係について、「再処理料金は使用済燃料再処理等積立金の取り戻し額から、すでに支払い済みの再処理前払金のうち各年度に充当する額を差し引いて、日本原燃株式会社に支払っている」と、先日広報の方から教えて戴いたが、この説明は分かりにくいので、今一度確認したい。
数式に直すと、
「積立金の取戻し額 = 各年度支払う再処理料金 - 再処理前払金の相殺額」なのか?
「各年度支払う再処理料金 = 積立金の取り戻し額 ― 再処理前払金の各年度の相殺額」なのか?
(後者の場合再処理前払金の各年度の相殺額と同じ金額の分、日本原燃に支払う料金よりも、毎年余計に取り戻されていることに。このお金はどこに消えるのか?)

A種優先株式について

最後にもう一つ、株主として、消費者として、北電の今後の経営に関する懸念を挙げます。それは、今年の株主総会で承認された、優先株式の発行による500億円増資の問題です。

この株式と我々の持つ一般株式の何よりの差は、優先株式には高配当が保障され、会社の利益が無くその支払いが叶わない年には、その分が割当先の政府系金融機関に対する有利子負債として積み上がっていくことです。その利率も、平成31年までは3.8%、それ以後は6.3%と高いものです。

この2,3年、他部署の方々が業績をこまごまと上げているにもかかわらず、北電は販売電力量の落ち込みで、減収・赤字が続いています。この度の値上げでますます、北電離れとアンペア切り下げが進むでしょう。

従って、値上げを行っても、来年以降も赤字が続く可能性は十分にあると考えられます。この状況で、500億円増資の引き換えとなる高配当は確保できるのでしょうか?
結局は高利の有利子負債がさらに膨らむ結果を招くのではないでしょうか?
そのツケは、また近い将来、我々消費者にまわってくるのではないでしょうか。

泊3号機を建設した際の負債はいくら残っていますか? 

今の北電の経営状況は、現在の、まして一般社員の方の落ち度ではなく、ここ数十年間の国策と過去30年間にわたる役員の経営舵取りによるものと思わる。一般社員の給与を削り、消費者に不利益を負わせる前に、過去30年程度に遡って退職役員に報酬や退職金の一部返還を求める措置、または、経営立て直しのための寄付等を募る措置などは行ったのか?また、その様な可能性を検討しているのか?

火力発電費は前年度より130億円減っている。

1000億円程度あれば、50万kW程度の、新しい効率の良い石炭ないしLNGの火力発電所が一機作れるのだから、発電設備が足りない、燃料費がかさむ、というのであれば、なぜもっと早く投資の方向を変えなかったのか?